【構造設計】力の流れとは?力の流れをコントロールしよう!

【構造設計】

構造設計をしていると力の流れという言葉がよく出てきます。

実務を始めたときにはいまいちピンと来ておらず、力が流れ切らない詳細図を書いてしまったり、力の流れにあっていない計算書を作ってしまうことがありました。

実務をある程度経験するとこれが力の流れということが、何かをきっかけに急に理解できることがあります。それがわかってくると構造設計がとても楽しくなってきます。

今回は力の流れは具体的にどういったことなのかを書いていきたいと思います。

今回のポイントは3つになります。
①地面までの流れルートは確保できているか?
②誰かの支点は誰かにとっては荷重になる
③力の流れをコントロールすることが構造設計

①地面までの流れルートは確保できているか?
力の流れは簡単に言ってしまうと、ある荷重が部材を経由して地面まで流れる経路のことになります。その経路の中にある部材が、荷重によって発生する力に対して抵抗できる耐力を持ってないと力の流れが途中で途絶えてしまうことになります。

例えば荷重は量になるので、水や砂、コンクリートのような重さがありつつ流動性のあるものに置き換えて流れる様子をイメージすると理解しやすくなると思います。

この流したものがたくさん集まってくるところというのは大きな力を負担していることになります。(鉛直力であれば梁にはせん断力、柱では軸力)

これは常時生じている重力による鉛直方向の力に限らず、地震の時の横方向の力についても基本的な考え方は同じです。
当たり前ですが、繋がっていないところには力は流れません。初歩的なミスでありがちなのが、地震による横力を耐震壁に流しているといっているもの、吹き抜けの向こうに耐震壁が!ほとんど繋がっていないけど・・・なんてことがあります。

コア周りにも耐震壁は設けやすいのですが、設備シャフトやEV、階段などで実は耐震壁と床スラブがほとんど繋がっていないなんてこともありがちなので気を付けましょう。

②誰かの支点は誰かにとっては荷重になる
RCは全体が繋がっているので力の流れがややイメージしにくいところもあるので、鉄骨造のスラブがない屋根や設備架台で考えると力の流れを掴みやすくなります。

二次部材では単純なモデルに置き換えて検討する際に、よくありがちなのが部材単体だけで成立することに注目しすぎて、最終的に柱まで力がたどり着いていないことがあります。

末端の部材から順番に検討をしていくことが基本ですが、支点に生じている反力は次に解く部材にとっては集中荷重に変わります。これを順番に繰り返していって柱までの梁部材の耐力が満足することを確認することになります。

力の流れが読めていないと思われてしまう失敗は、支点反力⇒集中荷重の関係ではなくて支点反力⇔集中荷重としてしまうことです。力の流れは基本的に一方通行である必要がありますが、都合よく支点としてモデル化してしまうと、結果として部材同士がもたれあうことになってしまい、いわゆる不安定構造物になってしまいます。

支点反力⇒集中荷重を踏まえて一方通行になっていることの確認を繰り返していくとあるとき、見えてくるときがくると思います。

③力の流れをコントロールすることが構造設計
実務を始めたばかりの時には、設定された架構に対して力を流せる部材を設定(検討)するというところから始まります。

力が流れることを確認することや、流れる部材を決めることも構造設計ですが、そのような検討をしているときも意識することは、力の流れ道として他の道はないのか?どうやったら力の流れる道を変えられるのか?ということです。

力の流れをコントロールできる術が増えていくと、無から有を生み出す思考に繋がっていきます。設計の中ではよく計画段階と言われる部分です。

大学の授業でやってきた時はよくわかっていませんでしたが、支点の種類(ピン、固定、ローラー)、接合部の条件(ピン、固定、半剛接)を上手く使いこなすと力の流れ方を変えることができます。
※同じピン、固定という言葉でも、支点に対して言っているのかと、接合部に対して言っているのかで計算条件が変わるので正確に意図をおさえましょう。

支点、接合条件と剛性・変形・力の関係がわかれば基本的に力の流れはコントロールできるようになってきます。

これらを体得していこうと思うと、試行錯誤していくことになりますが、単純に電算の結果を眺めていても身につくものではなく、例えば、ある支点をピンに変えたらどのように応力や力の負担率が変わるのかを予想して、計算結果と整合しているのかを確認するといったことを繰り返していくことが不可欠になってきます。

このときも電算が必ず正しいわけではない(入力間違えなどもある)ので、妄信せずに常に電算と対話しながら理解を深めていきましょう。
参考:構造計算プログラムに使われない付き合い方

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